週刊地震情報 2025.8.3 カムチャツカでM8.8の巨大地震 日本含む太平洋の広域に津波
by ウェザーニュース

この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると少し減少しました。東日本、北日本で地震が多く、北海道太平洋側の地震がやや目立っています。震度3以上の地震は4回発生しました。(7月28日〜8月3日10時の集計)
国内:北海道から九州で揺れを観測
カムチャツカ半島付近の地震7月30日(水)8時24分頃、カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.8、深さ35kmと推定される地震が発生しました。この地震で北海道釧路市、釧路町、厚岸町、標津町、別海町で震度2、北海道から九州までの所々で震度1の揺れを観測しています。
マグニチュード8.8は1900年以降に発生した地震の中で、6番目の大きさに相当する巨大地震です。地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析され、太平洋プレートが北米プレートに沈み込むことで発生した、プレート境界型巨大地震とみられます。
太平洋側の広範囲で津波 最大1.3mを観測
仙台港の潮位偏差この地震で津波が発生し、日本でも太平洋側を中心とした各地に津波が押し寄せました。地震発生の1時間後には北海道から紀伊半島の太平洋側に津波警報が発表されています。
最も大きな津波を観測したのが岩手県久慈港で1.3mに達しました。そのほか、宮城県仙台港で0.9m、北海道根室市花咲や青森県八戸港、茨城県神栖市鹿島港などで0.8mを観測しています。
地震の規模が大きかったことや、海底地形などの影響で様々な経路で津波がやってきたことなどで、長い時間潮位変動が継続しました。仙台港は第一波の観測から12時間ほど経って最大波を観測。丸2日経った8月1日(金)になっても潮位変動がみられています。
国内:北海道太平洋側で震度3〜4の地震
7月28日(月)12時10分頃、北海道の十勝地方南部を震源とするマグニチュード5.2、深さ51kmと推定される地震が発生しました。この地震で北海道浦河町と更別村で最大震度4、札幌市、千歳市、白老町、新冠町、大樹町、広尾町などで震度3を観測しています。
地震のメカニズムは北西ー南東方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されています。5月26日もほぼ同じ震源でマグニチュード5.2の地震が発生していて、この際も最大震度4を観測しました。
また、8月2日(土)には根室半島南東沖を震源とするマグニチュード4.6、釧路沖を震源とするマグニチュード5.6の地震が相次いで発生し、いずれも最大震度は3を観測です。
北海道太平洋側では5月下旬から6月にかけてやや規模の大きな地震がたびたび発生しました。前述のカムチャツカ半島と同様、太平洋プレートが沈み込むことによる巨大地震が懸念されている地域だけに、普段からの備えが欠かせません。
世界:マグニチュード8.5以上の地震は13年ぶり
世界のM4.5以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は11回発生しています。最も大きな地震は、カムチャツカ半島付近で発生したマグニチュード8.8です。
最初の項目でも触れたカムチャツカ半島付近を震源とする地震はマグニチュード8.8で、マグニチュード8.5以上と解析される地震は2012年にスマトラ島近海で発生したマグニチュード8.6以来になります。
巨大地震による津波は日本だけでなく、太平洋周辺の各国に到達しました。
断層の向きから津波が伝わりやすい方角に位置するハワイでは、マウイ島で最大1.74mの津波を観測。太平洋を挟んで15,000kmも離れている南米のチリにも1m以上の津波が到達しています。
また、南米大陸に到達した津波が反射して日本に届き、潮位変動の大きくなった所がありました。
カムチャツカ半島付近では過去にもこうした巨大地震が起きていて、1952年には今回とほぼ同じ震源でマグニチュード9.0が発生しています。
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