今の東京と100年前の鹿児島はどっちが暑い? 気温変化を知って適切な暑さ対策を
by ウェザーニュース

7月に入ってから各地で猛烈な暑さが続いていて、7日には全国のアメダス観測地点914地点のうち210地点が35℃以上の猛暑日になりました。
「温暖化の影響」「昔の夏は今ほど暑くなかった」などと耳にしますが、実際のところはどうなのでしょうか。気象庁の100年のデータからわかる日本の変化、対策など考えてみましょう。
100年で日本は1.40℃気温上昇
「日本の年平均気温は、1898~2024年の間に100年あたり1.40℃のペースで上昇しており、1990年代以降は記録的な高温の年が続いています」と、国立研究開発法人国立環境研究所気候変動適応センターの根本緑さんは語ります。
気象庁によると、年ごとに平均気温の上下はありますが、長期的な傾向として気温が上昇していることがわかります。
今の東京は100年前の鹿児島よりも暑い
温暖化は地球規模で進んでおり、世界的にも年平均気温は上昇しています。しかし、世界平均は過去100年あたり0.77℃。日本の年平均気温の上昇率は世界を大幅に上回るものとなっています。
今の東京都の年平均気温は、100年前の熊本県、宮崎県、鹿児島県を上回る値です。言い換えれば、今の東京は100年前の鹿児島よりも暑くなっているほどの変化が起きているのです。
猛暑日や熱帯夜も近年増加傾向に
さらに近年“暑さ”を実感しやすくなっている理由が、猛暑日や熱帯夜の増加傾向です。
猛暑日とは最高気温が35℃以上の日を指しますが、東京の猛暑日日数は100年前と比べて明らかに増えています。都市化による気温上昇の影響もあると考えられますが、名古屋や京都、福岡など他の都市でも増加しています。また、夜間の最低気温が25℃以上である熱帯夜についても同様に増加しています。
私たちが、昔よりも“酷い暑さ”“夜が寝苦しい”と感じるのも不思議ではないのです。「観測結果から全国の真夏日や猛暑日、熱帯夜の年間日数も増加していますが、将来も多くの地域でさらに増加することが予想されます」(根本さん)
今後も、気候変動による温暖化は進んでしまうのでしょうか。
「気候変動はすでに国内外で深刻な影響を及ぼしており、今後さらに拡大することが懸念されています。熱中症患者の増加による救急体制の逼迫(ひっぱく)、農作物の品質・収量低下に伴う食料問題、豪雨による土砂災害や洪水のリスク増大など、その影響は多岐にわたります。
世界では一部地域で住まいの移転を余儀なくされる事例も発生しています。こうした状況に対し、『緩和』と『適応』の両輪で取り組みをすみやかに進める必要があります」(根本さん)
気温の変化を知って適切な暑さ対策を
気温の変化は、もはやライフスタイルを変えざるをえないものとなっています。
「今後より一層強化した対策が取られなければ、これまで以上に私たちの生活や命を脅かす影響が懸念されます。熱中症患者数の増加による救急体制の逼迫(ひっぱく)、農作物の品質・収量低下に伴う食料問題、豪雨による土砂災害や洪水リスクの増大など、その影響は多岐にわたります。
米国では、災害リスクを回避するために村を移転した地域もあります。気候変動対策は待ったなしの状況であり、『緩和』と『適応』の両面から対策を強化することが求められています」(根本さん)
これから本格的な夏がやってきますが、夏の暑さはかつての常識が通用しないものとなっています。
気温の変化を正しく知り、エアコンを適切に使用する、暑さを避けて活動する、こまめに水分を摂るなど、しっかり熱中症対策をしていく必要があります。そして、気候変動の抑制に向けて、省エネやリサイクルなど、私たちの日常生活の中で身近な取り組みから始められる緩和策について考えていくことが重要です。
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