暑い夏のオフィスタイムをできるだけ快適に過ごすため、ノーネクタイ・ノージャケットなどの軽装で働く「クールビズ」開始から今年でちょうど20年。地球温暖化の進行による猛暑の早まりもあって、すっかり定着しています。
クールビズ導入の目的やこれまでの歴史をたどり、ネクタイや上着を着けないと体感温度はどれぐらい下がるのかなどについてもまとめてみました。
「クールビズ」導入20年、上着・ネクタイなしで体感温度はどれぐらい違う?
by ウェザーニュース
2005年の導入から今年で20年
「クール・ビズ(COOL BIZ)」をPRする当時の環境大臣だった小池百合子氏(2005年2月、写真/時事)クールビズは環境省が2005年に打ち出した政策で、軽装で働くことによってオフィスの過度な冷房使用を抑え、節電を図ることが主な目的でした。節電によりCO2の排出量を削減し、地球温暖化防止に役立てようという狙いがあったのです。
当時のビジネスパーソンは夏場でもネクタイを締め、スーツなどの上着を着用して働くことが主流でした。クールビズではこれを改め、6月1日から9月30日まで、まず政治家や公務員が率先して、ノーネクタイやノージャケット、半袖シャツの着用などを民間企業にも呼びかけました。
夏の服装として沖縄で一般的な「かりゆしウェア」もクールビズの一例として奨励されました。かりゆしウェアで閣議に臨む当時の麻生首相ら閣僚(2009年6月、写真/時事)そのうえで、冷房時の室温の目安が28℃とされました。ただし、「28℃でなければならないというわけでなく、無理のない範囲で冷やし過ぎない室温管理の取組をお願いする」との注釈が添えられていました。
2011・12年度は東日本大震災の影響による節電強化に加え、猛暑の長期化もあって、クールビズ期間が5月1日から10月31日までに延長されています。さらに、クールビズの取り組みを強化し、ポロシャツやTシャツなどの着用も認める「スーパークールビズ」も提唱されました。
温暖化の進行でクールビズの取り組みも変化
クールビズ政策は広く定着し、導入から20年経った2025年度も継続されています。しかし、2021年度からは全国一律の実施機関の設定が取り止められ、2022年度には環境省HPの「クールビズについて」に、冷房時の室温の目安28℃という文言も明記されなくなり、2023年度には「柔軟に設定」とされました。
温暖化のさらなる進行で真夏日・猛暑日が増え、熱中症予防の必要性が生じたことや、「室温28℃の設定では暑くて耐えられない」との声が高まったことなどが、その理由とされています。ファーストリテイリンググループの「PLST(プラステ)」が今年、クールビズについてのアンケートを実施しました。それによると、「6月から9月を超えてクールビズスタイルで勤務」したという人が46.5%と、半数を超えました。
また、「クールビズは社会的に認知されていると感じる」人は83.0%ですが、さらに「現代の気候に合わせて服装規定も変えていくべき」という人が88.6%と、9割近くに達しています。具体的には短パンやサンダル履きなど、よりカジュアルで快適な服装が求められているようです。
上着・ネクタイなしで体感温度が2℃下がる!?
それでは、ネクタイや上着を着用しなければ、実際の体感温度は着用時と比べて、どれぐらい下がるのでしょうか。
一般財団法人省エネルギーセンターが首都大学東京大学院(当時)の石野久弥研究室に依頼して2005年に実施した実験では、室温28℃の時の「軽装(半袖ワイシャツ+ズボン)」と、26℃の「スーツ(軽装+ネクタイ+夏用背広上着)」の温熱感はほぼ同じでした。
つまり、「上着を脱いでネクタイを外すと体感温度が2℃下がる」ことになるのです。
勤務時間の朝型シフトも効果的、家庭で生かせるクールビズも
環境省はクールビズを実行したうえで、さらに快適に働くスタイルとして、様々な実例を挙げています。
オフィスでは、うちわや扇子を利用して体感温度を下げる、冷感グッズや通気性のいい座布団の使用、ブラインドや断熱シートで室温上昇を抑えるなどのほか、節電に加えて残業を減らす効果もある勤務時間の朝型シフトも奨励しています。
家庭でも一つの部屋に集まることでエアコンの稼働を1台に絞ったり、扇風機を効果的に活用したりすることも効果的です。
もちろんオフィスでも家庭でも、常にこまめな電気製品のオン・オフにより、節電を心がけることは言うまでもありません。
導入から20年を迎えたクールビズを今年も実践して、快適な夏を過ごすとともに、地球環境への意識も高めていきたいですね。
温暖化の影響は私たちの生活にも大きな変化をもたらす可能性があります。ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。
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