【AFP=時事】主に熱帯・亜熱帯地域で発生するデング熱とチクングニア熱のウイルスを媒介する蚊が、地球温暖化の影響で北上しており、近い将来これらの熱病が欧州で風土病化する可能性があるとの研究結果が15日、発表された。
いずれのウイルスも、ネッタイシマカおよびヒトスジシマカ(別名タイガーモスキート)によって媒介される。これらのウイルスは発熱を引き起こし、重症化すると死に至ることもある。
特にヒトスジシマカの生息域は、人為的な気候変動による温暖化に伴い、近年ますます北上している。
専門誌「ランセット・プラネタリー・ヘルス」に掲載された論文によると、今回の研究では、気候を含むさまざまな要因が欧州におけるデング熱およびチクングニア熱のまん延に与えた影響を過去35年間にわたって分析。その結果、2010年以降の気温上昇に伴い、これらの感染症の流行頻度と深刻度が増していることが明らかになった。
欧州連合域内で報告されたデング熱の感染者数は、過去15年間では累計275人だったのに対し、観測史上最も暑かった2024年には300人を超えた。
デング熱の流行は、イタリア、クロアチア、フランス、スペインでも確認されている。
論文で研究チームは、「我々の調査結果は、ヤブカ属の蚊が媒介する感染症がEUで散発的な流行から風土病化の段階へと移行しつつあることを示している」と指摘した。
また、気温の上昇に伴って、ヒトスジシマカが媒介する感染症の流行リスクが高まるとした。
さらに、気候変動が最悪のシナリオをたどった場合、デング熱とチクングニア熱の流行は2060年までに現在の5倍に増加する可能性があると予測している。
研究ではまた、富裕地域で流行が多く報告されるのは、検査体制が整っておりウイルスの発見率が高いためと考えられる一方、貧困地域では症例が見過ごされている可能性があるとも指摘している。 【翻訳編集】AFPBB News
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